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毛根の状態から薄毛になりやすいかわかる?毛根が不健康になる原因と対策を紹介

2023.03.29

監修者紹介

佐藤明男

佐藤明男
東京メモリアルクリニック理事長

さとう美容クリニック院長, 北里大学医学部客員教授, 日本形成外科学会専攻医, 日本臨床毛髪学会理事, 日本先進医師会特定認定再生医療委員会委員長, SKIファーマ株式会社副社長
頭髪に関する内科治療と外科治療まで幅広く実践し、毛髪研究、教育も積極的に行っている。

「抜け毛の状態や本数が以前と変わってきた気がする」と感じている人もいるのではないでしょうか。

髪の健康状態は、抜け毛の毛根をチェックすることで判断できます。この記事では、不健康な毛根の状態や毛根が不健康になる原因を紹介します。

抜け毛の毛根から健康状態が判断できる

(出典:(1)毛と毛包の解剖・毛髪異常(AGA))

髪の毛は「成長期→退行期→休止期」のヘアサイクルを繰り返しています。健康な髪の毛は休止期に抜け落ちて新しい毛に生え変わるので、ヘアサイクルによる「自然脱毛」であれば問題ありません。

一方何らかの原因により、髪の毛が十分に成長しないうちに抜け落ちてしまう「異常脱毛」の場合もあります。

正常な抜け毛か注意が必要な異常脱毛かは、毛根の状態から見分けることが可能です。異常脱毛の場合はAGA (男性型脱毛症) の可能性もあるため、正常な抜け毛か異常脱毛か見分けられるようになりましょう。

不健康な毛根の状態

抜け毛の毛根をチェックして、以下の状態になっているようであれば、髪が正常に成長していない、頭皮環境が良くない可能性があります。

毛根が膨らんでいない
毛根の形が歪んでいる
毛根が白くべたついている
毛根が黒い

上記の状態を放置すると、健康な髪が生えにくくなる恐れがあります。

毛根が膨らんでいない

(出典:(2)日本皮膚科学会円形脱毛症診療ガイドライン 2017年版,(3)ヘアケアの科学)

毛根に膨らみがなく毛が細くて弱々しい抜け毛の場合は、成長期の段階で抜け落ちていることが考えられ、頭皮にトラブルが発生している可能性があります

毛根が膨らんでいない場合は、栄養不足や血行不良などが考えられます。

正常な抜け毛は、毛根が膨らんでいて毛が太くハリがある状態です。もし判断しづらい場合は、家族の抜け毛と見比べてみると良いでしょう。

毛根の形が歪んでいる

毛根がギザギザしている、歪んでいる場合は、頭皮が健康ではない可能性があります

正常な毛根は、マッチ棒のような形をしています。

毛根が白くべたついている

毛根に白いものが付着しべたついている場合は、皮脂が過剰に分泌されている可能性が高いです。皮脂の過剰分泌により毛穴が詰まってしまうと、髪の成長に悪影響を及ぼすことがあります。

正常な毛根にも白っぽい半透明のものが付着していることがありますが、これは皮脂ではなく毛根鞘 (もうこんしょう) です。

毛根鞘は毛根と頭皮を繋げる組織のことをいいます。毛根鞘がついている場合は、ターンオーバーで抜け落ちた可能性が高いため、心配する必要はありません。

毛根が黒い

毛根全体が黒くなっている場合は、血行不良などにより髪の毛に栄養が行き届いていない可能性があります。

毛根が不健康な状態になる原因

毛根が不健康な状態になる原因は複数あります。当てはまるものがないか確認していきましょう。

栄養不足

(出典:(4)中村博範 「マウスのタンパク質栄養状態と体毛タンパク質合成の関係について」)

髪の構成成分であるタンパク質やビタミン、ミネラルが不足すると、毛根の健康状態が悪くなってしまいます

動物性タンパク質や脂質を摂りすぎていると、皮脂が過剰に分泌されます。皮脂の過剰分泌は頭皮トラブルに繋がるため、コンビニ食や外食ばかりしている人は気をつけましょう。

過剰な洗髪

過剰な洗髪は頭皮トラブルの原因になります。1日に何回も洗髪していると、過剰に皮脂を洗い流してしまい、頭皮の乾燥を招きます。

頭皮が乾燥すると皮脂が不足していると体が察知し、皮脂の分泌量が増えてしまうため、1日に何回も洗髪している人は注意しましょう。

ドライヤーやヘアカラー剤のダメージ

(出典:(5)毛と毛包の解剖・毛髪異常(AGA))

ドライヤーやヘアカラー剤の刺激は、頭皮の乾燥や髪の毛を覆うキューティクルにダメージを与える原因になります

ドライヤーを頭皮に近づけすぎると頭皮が炎症を起こすことがあります。ドライヤーをかける際は、頭皮から20cm程度離すようにしましょう。

またヘアカラー剤には、アルカリ剤や界面活性剤など刺激の強い成分が入っていおり、頭皮に付着するとかぶれや炎症などを起こすことがあります。

慢性的なストレス

(出典:(6)疲労とストレス)

ストレスを溜め込んでいると、頭皮の血行不良やホルモンバランスの乱れを招き、皮脂の過剰分泌の原因になります

また慢性的なストレスにより、円形脱毛症を引き起こすこともあります。

睡眠不足

睡眠不足になると、成長ホルモンが十分に分泌されなくなります。成長ホルモンの分泌が少なくなると、髪の成長が妨げられるほか、傷んだ髪が修復されにくくなってしまいます。

なお睡眠時間だけでなく、睡眠の質が悪いことも頭皮や髪に悪影響を与えてしまうので、睡眠の質を高めるように心がけることも大切です。

運動不足

運動不足だと血行が滞りやすくなるため、毛根に必要な栄養が行き渡りくくなります

運動不足だからといって筋トレなどの無酸素運動を頑張りすぎると、血中の活性酸素を増やし毛根にダメージを与えてしまいます。そのためウォーキングや軽めのジョギングなどの有酸素運動を取り入れるのが良いです。

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毛根を健康にするための対策方法

毛根の状態が良くない場合は、以下の対策方法を実践しましょう。

バランスの良い食事をする

(出典:(7)Villareal MJR 「Protein-calorie malnutrition diagnosis by hair tissue: A study in Filipino pre-school children.」,(8)MSD マニュアル プロフェッショナル版 ビタミン)

特定の食べ物ばかりの偏った食事を続けていると、髪の成長に必要な栄養素が足りなくなりがちです。そのため肉や魚、野菜や果物などバランス良く摂取しましょう

タンパク質は髪に必要な主要栄養素ですが、タンパク質だけ摂取していても正常な状態には戻りにくいです。タンパク質以外にも、ビタミンやミネラルも積極的に摂取するように心がけましょう。

低刺激のシャンプーで正しく洗う

(出典:(9)洗浄料とその作用,(10)次世代ニーズを予測するための解析手法の研究 ~シャンプー開発を例として~,(11)毛髪・頭皮に優しい洗浄技術)

刺激が強いシャンプーを使うと頭皮が乾燥しやすくなるため、洗浄力がマイルドなアミノ酸系シャンプーを使い、正しく洗髪しましょう

また低刺激のシャンプーを使っても、洗髪回数が多いと乾燥しやすくなります。基本的にシャンプーを使った洗髪は、1日に1回に留めるようにしてください。

汗をかいて2回以上シャワーを浴びる場合は、ぬるま湯で洗い流すだけにしましょう。

正しいシャンプーのやり方は、以下のとおりです。

シャンプーをする前に簡単にブラッシングをする
ぬるま湯で髪と頭皮を予洗いをする
シャンプーを手で泡立てて、頭皮をマッサージするように優しく洗う
ぬるま湯でシャンプーをしっかりと洗い流す

誤った方法でシャンプーをしている場合は、見直してみましょう。

ヘッドマッサージをする

(出典:(12)地肌マッサージの頭皮への作用)

ヘッドマッサージは、頭皮の血流の改善に役立ちます。爪を立ててマッサージすると頭皮を傷つけてしまう可能性があるため、指の腹を使って丁寧にマッサージしましょう。

1.髪の生え際を指の腹で押し上げて2秒間キープする
2.髪の生え際を指の腹で下に引っ張って2秒間キープする
3.1・2を複数回繰り返す
4.側頭部に指の腹を当てて円を描くようにマッサージする
5.頭皮を頭頂部に向かって引き寄せて数秒間キープする
6.5の反対の方向に頭皮を引き伸ばして数秒間キープする

ヘッドマッサージは、入浴中や入浴後にするのがおすすめです。体が温まっているため、より高い効果が期待できます。

ストレスを解消する

ストレスは髪に悪影響を与えるため、こまめにストレス発散するようにしましょう。

1日に1回は好きなことをする、ゆっくりお風呂に浸かるなど簡単にできるストレス解消方法を見つけると良いです。毎日気軽に行えるストレス解消方法があると、ストレスを溜め込みにくくなります。

育毛剤を使う

(出典:(13)Male Pattern Baldness and Hair Growth Promoters)

頭皮環境を整えて、髪が成長しやすいようにサポートする育毛剤を使うことで、健康な毛根に戻ることが期待できます

頭皮が乾燥しているときに育毛剤を使うと、頭皮のバリア機能が整うため刺激を受けにくくなります。

また毛穴汚れや皮脂の除去、抗酸化作用なども期待できるため、自分に合った育毛剤で対策してみましょう。

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毛根の状態を把握して抜け毛を防ごう

不健康な毛根の状態を知っておくことで、早めに薄毛対策ができます。毛根が不健康になる原因は、栄養不足や過剰な洗髪など複数あります。

毛根にダメージを与える原因を取り除き、適切な対策を行って抜け毛を防いでいきましょう。

文献

1).毛と毛包の解剖・毛髪異常(AGA)
2).日本皮膚科学会円形脱毛症診療ガイドライン 2017年版
3).ヘアケアの科学
4).中村博範 「マウスのタンパク質栄養状態と体毛タンパク質合成の関係について」
5).毛と毛包の解剖・毛髪異常(AGA)
6).疲労とストレス
7).Villareal MJR 「Protein-calorie malnutrition diagnosis by hair tissue: A study in Filipino pre-school children.」
8).MSD マニュアル プロフェッショナル版 ビタミン
9).洗浄料とその作用
10).次世代ニーズを予測するための解析手法の研究 ~シャンプー開発を例として~
11).毛髪・頭皮に優しい洗浄技術
12).地肌マッサージの頭皮への作用
13).Male Pattern Baldness and Hair Growth Promoters

監修者紹介

佐藤明男

佐藤明男
東京メモリアルクリニック理事長

■ プロフィール
1957年新潟県生まれ。北里大学医学部卒業。
1998年、厚生省(当時) 高度先進医療推進事業でオックスフォード大学医学部客員研究員として英国に国費留学し、帰国後、東京メモリアルクリニック・平山副院長を経て院長に就任。医療法人TMC理事長を兼任。これまで10,000人を超えるAGA(男性型脱毛症)患者を治療してきた実績を持つ、頭髪治療の第一人者。
■論文・出版情報
2007年 『医療的育毛革命』
2009年 『なぜグリーン車にはハゲが多いのか』

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