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傷んだ髪はしっかり修復!夏の頭皮ダメージ回復大作戦!! 後編 食のパワーで髪の力をカラダの中から再生しよう!

2021.09.15

監修・対談者紹介

佐藤明男

佐藤明男
東京メモリアルクリニック理事長

さとう美容クリニック院長, 北里大学医学部客員教授, 日本形成外科学会専攻医, 日本臨床毛髪学会理事, 日本先進医師会特定認定再生医療委員会委員長, SKIファーマ株式会社副社長
頭髪に関する内科治療と外科治療まで幅広く実践し、毛髪研究、教育も積極的に行っている。

薄毛治療のオピニオンリーダー佐藤明男先生に薄毛にまつわる知識をお聞きする当連載。夏の頭皮ケア後編となる第6回では、髪や頭皮のダメージを食のパワーで回復するために、髪によい栄養素などを佐藤先生に質問!プロの料理研究家の監修のもとで具体的な育毛レシピをお届けしていきます。

先生教えて!食と髪って関係あるの?

Answer編集部:前回の記事では、夏に痛んでしまった髪や頭皮を外側からケアする方法を教えていただきました。今回は、食のパワーで内側から回復させる方法をお聞きしていきたいと思います。

佐藤:第4回でも少し触れましたが、人の体は食べるものでつくられています。栄養が不足すると体の健康にもよくありませんし、それが髪の健康にも悪影響を与えます。夏の暑さで髪や頭皮だけでなく、体もバテていますから、必要な栄養をバランスよく補給することは体全体にとって大切です。

Answer編集部:しっかり栄養を摂ることが大切なんですね。

佐藤:現代人は飽食や過食の傾向にあるので、過剰に栄養を摂る必要はありません。しかし、必要な栄養が極度に不足すると髪にも影響がでてきます。

Answer編集部:極端なダイエットで栄養不足になる場合とか?

佐藤:そうです。拒食症の患者さんなどで極度の栄養不足が続くと、やがて頭髪の脱毛が始まります。髪はタンパク質で構成されていますが、生命維持にはあまり関係ない部位なので栄養が届く優先順位が低いのです。健康な髪を維持するためには髪にも栄養が届くように、きちんと補給する必要があります。

Answer編集部:髪や頭皮に特にこの食べものがよいなどはありますか?

佐藤:たくさん食べたからといって、髪がフサフサと生えてくるという食材は残念ながらありません。昔から「ワカメがよい」とか言われますが、迷信ですね(笑)。食べたから毛量が増えるという医学的な根拠はないんです。

Answer編集部:海藻の見た目が髪の毛に似ているから、そういう話になってしまったのでしょうか(笑)。

佐藤:ただ、海藻に含まれるミネラルが体の健康にも髪の健康にもよいのは確かです。だから、できるだけ摂ったほうがよい食材ではあります。同じように、髪や頭皮の健康のために、積極的に摂ったほうがよい栄養素というのはありますよ。

Answer編集部:以前、髪にはタンパク質を摂るとよいとお聞きしましたが、ほかにも必要な栄養素があれば教えてください。

佐藤:では、夏のダメージをスムーズに回復するためにも、しっかり補給しておいたほうがよい栄養素をここで詳しくお伝えしていきましょう。

髪の健康がパワーアップする栄養素&レシピ

ここでは髪や頭皮のためにしっかり補給しておきたい栄養素を佐藤先生に教えていただきます。また、料理研究家の先生の監修のもと、それらの栄養素が含まれる簡単レシピをご紹介します。

髪に必要な栄養素を知ろう!

・タンパク質

佐藤:髪の毛の大部分は、タンパク質からできています。人の体は筋肉も、皮膚も、爪もタンパク質からできています。つまり、タンパク質は、人の体にとっても、髪にとっても欠かせない栄養素だと言えます。

タンパク質は常に今あるものが分解されて、新しいタンパク質に生まれ変わるという代謝を繰り返しています。ストレスなどが多いと分解される量が増えるので、たくさん摂ることが必要になります。この代謝にはビタミンB群が必要なので、タンパク質とセットで補いましょう。

・ミネラル類

佐藤:ミネラル類の中でも亜鉛は髪のために特にしっかり摂ったほうがよい栄養素です。亜鉛にはタンパク質のケラチンを合成する働きがあり、不足するとケラチン合成ができなくなり、抜け毛の原因になることもあります。

亜鉛は皮膚にも不可欠なミネラルなので、不足すると、肌荒れや傷の治りが遅くなるなどの皮膚トラブルにもつながります。

夏の髪や頭皮ダメージを回復させるためにも必要な亜鉛ですが、体に貯蔵することができません。そのうえストレスや飲酒などにより需要量が増えて欠乏しやすいため、積極的に摂ることが大切です。

ほかにも、髪の毛に含まれるメラニン色素の合成のためには、鉄や銅も必要です。

鉄は肌や髪のケラチンにも必要で、赤血球に含まれて全身に酸素を届ける役割があります。鉄が不足して体内の酸素が少なくなると、毛乳頭まで必要な酸素や栄養が届かなくなり、抜け毛や髪が細くなるなどのトラブルにもつながります。

・ビタミン類

佐藤:ビタミン類で、特に摂りたいのはビタミンB群です。ビタミンB群はタンパク質の代謝に欠かせない栄養素で、髪の成長を促します。

ビタミンB群は互いに補い合って働くので、どれかひとつだけではなくトータルで摂りたい栄養素ですが、中でもビタミンB12には赤血球の生成を助けて、貧血を防ぐ効果があります。不足すると細胞に酸素が行き届かず、抜け毛の一因にもなることもあります。

また、活性型ビタミンDも髪をつくる作用があります。ビタミンDは食品から摂取するほか日光にあたると皮膚で合成されます。それが体内で活性型ビタミンDとなりますが、不足しがちなので意識して摂るとよいでしょう。

そのほか、ビタミンCはクエン酸とともに亜鉛の吸収率をあげることで知られています。亜鉛は髪のために重要な栄養素ですが、吸収率が悪いので、吸収率を上げるためにビタミンCを含む食品と一緒に摂ることです。

髪のダメージ回復!簡単レシピ

レシピ①髪の毛の元となる栄養素を摂る

かつおのニラ漬け丼

●材料(1人分)19

  • かつお(刺身)…80g
  • ニラ…1本

  • しょうゆ…大さじ1
  • みりん…小さじ2
  • ごま油…小さじ1
  • おろししょうが…小さじ1
  • すり黒ごま…小さじ1
  • 温かいご飯…丼1杯分
  • 焼きのり…1/4枚
  • 温泉卵…1個

●栄養素

  • かつお・・・たんぱく質、ビタミンB、ビタミンD、カリウム、鉄分
  • 卵・・・たんぱく質、ビタミン類、鉄分、亜鉛
  • ニラ・・・βカロテン、ビタミンC、カリウム、葉酸
  • 海苔・・・ビタミン類、ミネラル
  • ごま・・・たんぱく質、ビタミンB、ビタミンE、ミネラル

●作り方

①ニラは5mm幅に切ってAと混ぜ合わせ、かつおを10分~ひと晩漬ける。

②どんぶりにご飯を盛り、のりをちぎって散らす。①と温泉卵をのせる。

レシピ②髪の毛に艶、コシを与える栄養が満点

牛肉の梅カシューナッツ炒め

●材料(1人分)

  • 牛肩ロース肉(薄切り)…100g

A

  • 塩、こしょう…各少々
  • かたくり粉…小さじ1
  • チンゲンサイ…1/2株(90g)
  • カシューナッツ(素焼き)…10粒
  • しょうが…1かけ
  • ごま油…大さじ1/2

B

  • 練り梅…大さじ1/2
  • しょうゆ、酒、みりん…各小さじ1
  • 砂糖…小さじ1/2

●栄養素

  • 牛肉・・・亜鉛、たんぱく質、ミネラル、鉄分
  • 青梗菜・・・βカロテン、カリウム、カルシウム、ビタミンC
  • カシューナッツ・・・ビタミンB、ミネラル
  • 梅・・・カリウム、カルシウム、ビタミン類

●作り方

①牛肉はAを全体にまぶす。チンゲンサイは葉と軸に切り分け、軸は四つ割りにし、葉は5cm長さに切る。しょうがはせん切りにする。

②フライパンにごま油を熱し、牛肉を中火で炒める。色が変わってきたらチンゲンサイの軸を加えて炒め、しんなりしてきたら、カシューナッツ、チンゲンサイの葉、しょうがを加えてさっと炒める。Bを加え、炒め合わせる。

レシピ③抜け毛を食から防ぐビタミンたっぷり

鮭のにんにくみそ焼き

●材料(1人分)

  • 生鮭…1切れ
  • 塩…少々
  • しめじ…50g
  • パプリカ(黄)…1/4個

A

  • みそ…大さじ1
  • 砂糖、酒…各小さじ1
  • おろしにんにく…小さじ1/4
  • こしょう…少々
  • バター…10g

●栄養素

  • 鮭・・・たんぱく質、ビタミン類、ミネラル、DHA、EPE、アスタキサンチン
  • しめじ・・・ビタミンD、ビタミンB、カリウム
  • パプリカ・・・ビタミンC、ビタミンP、ビタミンA
  • 味噌・・・ビタミンB、ビタミンE、イソフラボン

●作り方

①鮭は塩をして10分おき、ペーパータオルで水気を拭く。

②しめじはほぐす。パプリカは横1cm幅に切る。Aは混ぜ合わせる。

③アルミ箔を広げて①をのせ、まわりに②を並べる。Aをかけてバターをのせ、閉じる。230度のオーブントースターで10~15分焼き、火を通す。

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